TOPブログ > 花粉症対策としてのグルテンフリー

2019年03月15日

  

免疫

永年ひどい花粉症に苦しんできたのが今年は治ったのかというほど軽くなりました。いろんなことを試し、最後は徹底して食事を変えたのが功を奏したようですが、このところ、しばらく出張が続いて昔食べていたようなものを食べる機会が増えてしまい、花粉症も少し戻ってしまいました。 また新しい食事スタイルに戻すと楽になってきました。 

 

どう変えたのかをご紹介したいのですが、簡単にはいかないのです。 こうすればいいんです、と簡単な方法で書ければ書くのですが、中途半端に真似をするとかえって悪化します。

 

とことん食事を変える前に、まず最初にグルテンフリーに変えてみました。これとて単純なものではないのですが、とりあえず小麦粉製品は食べないのが基本です。 

これ花粉症の話ですので。

小麦粉製品をやめたらがんが治るなどと書いてませんので。 

がんを食事だけで治すなど、それは無理な話です。 

あくまで花粉症を軽くする話です。

 

グルテンフリーは今や欧米では当たり前に知られていますが、爆発的に認知されるきっかけになったのはピザ屋の息子として育ったジョコビッチ選手が、自身のご体験を出版されたことです。 どうにもパワーがでずに試合で勝てなかったジョコビッチ選手が小麦粉製品をやめ、食べるもの全体を変えたところ、体力と集中力が続くようになり世界トップに上り詰めたのですから、説得力があります。 

 

重要なポイントは顕著な病状があったわけではないということです。体力がつづかない、だるい、頭がぼんやりする、集中力が続かない、といった特に病気と考えられるような症状はないもののスポーツ選手としては致命的なほど能力をフルに発揮できない状態からグルテンフリーによって脱出したということです。

 

小麦粉製品を食べなければ即ちそれがグルテンフリーなのかというとそうはいかないのですが、何よりもまず小麦粉製品を食べないようにしないと話が始まりません。 

 

主な注意点は3つあります。

 

一つ目は小麦アレルギーとグルテンによる障害は別物だということです。 グルテンによる障害は長期にわたってジワジワと明確で顕著な病状を示さずに進行していきますので一般的な診断にはひっかかりませんし、本人も病気だとは思っていません。

 

グルテンフリーとかいうけど自分に関係があるのか、と。 まずお医者さんのところへいって小麦アレルギーがあるかないか調べてみよう。 そうするとほとんどの人が「ありません」と診断されます。私は小麦粉製品を控えるようになって劇的に体調がよくなりましたが、小麦アレルギーと診断されたことはありません。 小麦アレルギーは特定小麦成分に対する非常に過敏な免疫応答のことを言っており、小麦アレルギーと診断されるほど過敏な人は非常に稀です。 小麦アレルギーの人はうっかり小麦製品を食べてしまうととんでもないことになることもあります。 知人で体温が42度を超えた人もいましたが危険なレベルの急激な免疫応答を来すことがあります。

 

一方、グルテンによる障害というのはもっと長期的にジワジワとむしばんでくる慢性症状です。これは保険診療で検査できるようにはなっていません。 あまりにも長期的にじわじわとくるため、ほぼ本人が自覚することはできません。 実は症状を自覚しているのですが、自分はそういう体質だと思っているわけです、永年そうだからです。 小麦アレルギーの検査などを受けるのは構いませんが、一般的な疾病の診断の結果が特に病気ではありませんよ、ということになってもグルテンフリーは試してみる価値はある、ということです。

 

二つ目は、徹底してやらないと何の効果も実感できません。身の回りでグルテンフリーに挑戦した人の7~8割は劇的な効果を実感され、一体、今まで何を食べていたのか、というほど感動し、見た目にも明らかに「恰好よく」ボディラインが変わり、肌の艶もよくなり、体の動きにキレがでてきます。 2~3割の人はほとんど何の効果も見られないのですが、よくよく聞いてみると、いやたまにラーメンは食べている、とか、週に何回か小麦粉製品の塊を食べているようで、こういう場合、ほぼ効果はでません。 一方、3週間、徹して小麦粉製品を断った人が、その後うっかり小麦粉製品をある程度大量に口に入れてしまうと「大爆発」することがあります。 腸内のグルテン分解酵素が弱くなったからと説明されていますが、一度、始めたら戻るのは大変になるようです。

 

三つ目。これが一番、問題です。グルテンフリーを始めた人は最初のうちはルンルンしていても、やがて困ったことになったり、症状が戻ったりします。 ひどくなる人もいます。 まず食べるものを探すのに苦労します。そのため他に食べるものを必死に探すのですが、これがいいと、代替食を確保したと思った時、危険な罠の入り口にいるのかもしれません。 たとえば豆乳がいい、ヨーグルトがいい、とそういうものを小麦粉製品の替わりに大量に食べたら小麦粉製品より有害かもしれません。 結局、グルテンフリーを始めたものの、前よりひどくなったぞ、ということになりかねないのです。 

 

世の中、そこそこ以下の価格で手軽に食べることができる加工食品にはほぼ小麦粉が使われています。 数億トン単位で量産され、徹底した「戦略価格」で提供され、巨大エレベーターに貯蔵され、シカゴ商品先物市場でのリスクヘッジ機能も高く、少々、天候不順であろうが、巨大ハリケーンが襲おうが、そんな影響をうまくリスクヘッジして低く安定した価格で物量が途絶えることなく、様々な規格に微粉加工され、注文すればすぐに届く物流システムが世界規模で整備され、加工装置も安価にどこでも手に入ります。 大抵、どんな加工食品を作るにあたってもほどよい粘り気など、食品加工事業者が求めるテキスチュアを実現できる様な細かなテクニカルサービスのサポートもあります。 これに保湿機能を高める糖アルコールや、低カロリーで甘味をだすインテンスィブスゥイートナー(サッカリンやチクロ、アスパルテーム、アセサルフェームポタシウムなど)、リン酸系の保存剤など、流通プロセスに載せた際に賞味期限を永く保てる配合についても徹底したサポート体制があります。  

サッカリンやチクロを使っていいのか! という反応がありましたが、国によっては使用可です。 

ま、加工食品メーカーへの食品添加物の供給やフォーミュレーションのコンサルとか、そういう仕事もやっていましたので、よく売れている加工食品は日米欧、大体、どうやって作っているのか観てきました。 私自身はよりによってグルテン強化剤の仕事を担当していましたので、世の中のどの製品がどれほど「強烈」なグルテンを含んでいるかはよく知っています。 確かにイタリアのパスタは強烈で、その上をいくのは冷凍してあっても腰が強いサービスエリアなどででてくるうどん。 あれは最強のグルテン構造の更にその上をいくトランスグルタミナーゼという酵素を使った仕掛けがしてあり、なので茹で上げようが、冷えようが、粘りが落ちないのです。 いい仕事をしてきたつもりが、自分がそういうものを永年、食べ続けて今ごろになってひっくり返ってしまったわけですね。

 

ちなみにグルテンというのは小麦に「入っている」のではありません。 小麦に含まれるレクチンといわれるタンパク質があります。植物のタンパク質といえばレクチンが圧倒的に多いのですが、NK細胞もこのレクチンにそっくりの構造のセンサーをいくつももっており、これでがん細胞と正常細胞の表面にある糖鎖構造を認識します。 細胞認識には、ペプチド構造ではなく、糖鎖構造が重要で、その認識センサーを多種大量に備えているのがNK細胞の特徴で、だから、がん細胞をよく認識できるのです。 レクチンは糖質に高い親和性(結合性)をもちます。 糖鎖の研究者にレクチンはなくてはならない実験材料です。 

さて小麦を微粉にして、水と混ぜてよく練ると、小麦レクチンがお互いに結合しあって巨大分子を構築します。 これがグルテンです。 温度や塩分によってもグルテンのできやすさが変わります。 グルテンは粘りの元になりますのでアルデンテのパスタはグルテンの塊、しかもシステインやシスティンというグルテンエンハンサーを大量に混ぜてありますからかなり強大なグルテンとなります。 天ぷら粉は粘りも弱く、油で高温であげてますので、食べてもあんまりグルテンは残っていません。 パンはグルテンリッチですが、ドイツ人が普通に食べている黒いパン、彼らはそれをパンと呼び、白いパンを「白パン」とか「英国風のパン」と呼ぶんだそうですが、小麦比率が低いか使っていないパンはあまりグルテンが入っていません。 本格的に作られたクロワッサンにはグルテンはほとんど含まれません。 天然酵母でしっかり長時間醗酵させていれば、グルテンは「食われて」います。 その分、パサパサした食感になります。 醤油に小麦が使われていようが、うちの工場では同じラインで小麦を使っていますと表示されていようが、グルテンフリーを目指すなら、そんな微量のものはどうでもいいのです。 全く問題ありません。 小麦アレルギーの人なら、微量なものでもアレルギー反応が起きることがあります。 グルテン問題は、大量に取らないと症状はでません。 

 

このグルテン、何がどう悪さをするかは別の機会にしますが、とにかく全身いたるとこに慢性的な炎症を起こします。 劇症化すればだれもが自分は何か病気だと思うのですが、じわじわと炎症が持続していると、本人は全く自分が病気とは思いません。 あまりにもどこのだれもがそうですので、ごく普通の状態として特別に意識されることもありません。  それでも長期間、何十年という単位で持続することで様々な疾病につながると考えられていますが、長期的な慢性的な問題の研究は難しいわけで、まずは、グルテンはやたらと方々で炎症を起こしまくる、ここまでをまず押さえることです。 一番の問題は、疑似抗原として自己免疫疾患を誘導することなのですが、米国では盛んに研究されてきましたが、日本ではあまり知られていません。 お医者さんと話をしても米国事情をよく調べている人でないとほとんどご存じないようです。

 

 

ちなみに私の場合はパスタを食べ過ぎた後、ひっくり返るほど強烈な炎症反応が消化器系や関節を襲い、更には心臓や呼吸まで異常を来し、それまでにも何なんだ、この症状はというのが年に何度かですが、何回か繰り返し、医師に相談しても原因はよくわからなかったのです。  これはやばいぞ、という警戒心がありましたし、強烈な症状がでたものですからグルテンを疑い、(そういえば、小麦粉製品をドカ喰いした時に、数時間後か夜中に強めの症状がでていたな、、、 ) まあ、試しにやってみよう、と強い動機がありました。 するとそれまで何十年も実は全身、かなりの炎症反応が持続していたということに気付きました。 ずっとそうだったのでわからなかったのです。 小麦粉製品をやめたら体がすっきりして、余分な水分が抜けた、という感じです。 全身の方々に時々でていた発疹がなくなり、関節の微妙な腫れや痛みもなくなり、食べ過ぎた後によくなっていたブレインフォッグも晴れ渡りました。夜の睡眠も深くなりました。 炎症反応というのは免疫反応の一種ですから、全身のバックグランドとしての炎症状態が軽くなったのなら、きっと花粉症も軽くなると「思った」からそうなったのかもしれませんが、もの凄く楽になりました。 

 

ところが、グルテンフリーを始めて3年ほどすると、また以前のような症状が出始めたのです。

 

 

今度は、米を大量に食べた時でした。

 

米にもグルテンと同じ構造体をつくるレクチンが含まれていますから、グルテンフリーの話を最初に聞いたときから、小麦ばかり悪者にするが、穀類どころか、ほとんどの植物はレクチンだらけではないか、小麦だけの問題ではないだろう、ということは気付いていました。

 

結局、穀類全部見直し、では何を主食に? と聞かれるのですが、いえ主食という概念を捨てたのです、ということになります。 今は、麦も米も芋も食べません。 するとグルテンフリーに変えた時より更にずっと体調がよくなり、花粉症治ったのかもレベルまで改善したのです。 では肉しか食べないのかというと、ドカ食いしていた大好物の牛肉も少し食べれば体が動くので食べる量は減りました。 無駄に炎症反応でエネルギーを消耗していたのが燃費がよくなったわけですから、そんな少しで大丈夫なの? と驚かれるほど少食にしてもお腹がすかなくなり体重も減りません。  ただ野菜の量は葉っぱものを中心に増えています。 しっかりと繊維をとらないとお腹がすっきりしません。 以前はあまり食べなかった油脂もわざわざ摂るようにしています。 これ書いていくと、けっこう、大変なボリュームになり、しかも人によって体質は違いますし、同じ人間でも体調というのは日々、変化しますので、「こうやれば大丈夫」とは言えないのです。 ほとんどの人が「何を食べればいいのか」と固定された正解を求める傾向があるようですが、そうやって何を食べればいいのか決めつけてしまうところから病気の元が始まります。 ここから先はまたの機会に。

 

 

(続く)

 

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