TOP>CTL療法とは

[適切な標的入手が必要]

標的とするがん細胞は、患者体内から取り出す必要があります。手術で取り出されたものの他、バイオプシーのサンプル、胸水や腹水を抜いた液にがん細胞が含まれている場合など、いくつか標的採取法があります。
CTL細胞の教育には、如何に適切な標的を取得するかが重要です。理想的には、生きたがん細胞をキラーT細胞と一緒に培養するのがベストです。死んだがん細胞や、標本化されたがん細胞、など、死後変性すればするほど標的としての効果が落ちる可能性があります。
また、がん細胞の一部を抽出したもの、特にペプチドの断片など、細胞全体ではなく、部分的な構成物質のみを標的とすると殆ど効果が期待できません。ましてや、患者本人から取り出したのではない研究用の培養がん細胞や合成ペプチドなどを使用すると殆ど有効なCTLを作成することはできません。

現実には、生きたがん細胞を用いてCTLを作成できる方は限られています。少なくとも、手術を受ける前にANK療法を申し込まれ、かつ、手術担当医師から検体提供の了解を得ていることが必須となります。

手術後、化学療法を受けたものの、腫瘍マーカーの値が大きくなってきたのでANK療法を受けることにした、こういう場合、標本として固定(もう死んでいます)された腫瘍組織しか入手できません。固定された標本を標的とする場合、腫瘍組織に集まってきたキラーT細胞を選択的に増殖させた、としか申し上げられません。既に、死んでいるがん細胞を、攻撃するのかどうか、確認のしようがないからです。T細胞は、体内の炎症部位や異物などに、意味もなく集まる傾向があります。腫瘍組織に集まったからといって、必ずしも攻撃をかけないことはよく知られている現象です。以前、TIL療法(TIL:腫瘍浸潤T細胞、腫瘍組織に食い込んでいきます)こそ、がん治療の本命と騒がれた時期がありましたが、実際には、腫瘍に入り込むだけで、がん細胞を傷害しないことが明らかになり、最近では、殆ど実施されなくなっています。

[十分な母数のキラーT細胞が必要]

キラーT細胞はT細胞の中でもごく一部を占めるに過ぎません。更に、各々のキラーT細胞は、一種類の標的しか認識しないと言われています。たまたま患者体内のがん細胞を標的とするキラーT細胞は、ほんのわずかしか存在しないのです。そこで、CTL作成にあたっては、血液採取(全血)では十分な数のキラーT細胞を確保できる保証がなく、リンパ球分離採取により、大量のリンパ球(T細胞を含みます)を取得することを前提にしております。

[体内のがん細胞が標的と一致する保証がない]

CTLは覚えた標的と同じ性質をもつ細胞しか攻撃しません。ところが体内に必ず標的と同じ性質のがん細胞が存在する保証はありません。その場合、空振りとなってしまいます。標的の性質がCTL作成過程で変性する可能性もあります。

[覚えた標的以外は攻撃しない]

標的と同じ腫瘍組織内でも標的と異なるがん細胞が存在する可能性があります。また、転移や再発の場合は特にそうですが、増殖過程でがん細胞が抗原性を変化させることは十分ありえます。このような場合、CTL細胞は認識できなくなります。

CTL細胞に関する図

詳しくは「免疫細胞療法との比較」をご覧下さい。