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2019年01月17日

  

がん, 免疫

がん患者さんの遺伝子を調べてより適切な治療を選択という趣旨で、がんゲノム診断が保険適応を前提に、一部拠点病院での検査体制の確立と標準化が急ピッチで進み、一方で標準化されたもの以外は実施できないような規制がかかっています。  すでにこれまで実施されてきた多くのゲノム診断が実施不可とされています。

 

一般の方はよく「遺伝子を調べれば何でもわかる」とか、「がんの正体を見極めて確実にやっつける治療を選択すれば、がんを治せる」、と誤解されるようですが、現実には中々そうなっていきません。 またゲノム上の性質とがんの進行や適切と考えられる治療がピンポイントに結び付けられるのかというと、一部、結びつけるのが妥当なケースがあるのでだからこそゲノム診断をやるわけですが、多くの場合は、そこまで精度がない、相関性(関係性)が明確ではないというものも多く知られています。 また、がん細胞のゲノムはコロコロ変化しますし、体内にいるがん細胞の中には、いろんな変化を遂げたものが混じっています。 そう単純にはいかないのです。

 

ですが、今回のゲノム医療をめぐる動きには大きな意味があります。 従来は医薬品の製造企業が巨額資金を投入して治験を行い、治験データを基に承認申請をかけ、承認されたものについては中医協が健康保険の適応と薬価を決める、という手続きをとるため、保険適応をとるかとらないかは巨額資金を投入できる一部巨大企業の思惑だけで決まってしまうという問題がある上、承認条件からずれていると保険適応外ということで公的保険が使えません。 しかも混合診療規制により、保険適応外となると保険診療機関では受けられないので、同じ患者さんが保険診療機関と自由診療機関を掛け持ちしないと先端医療どころか、昔から他の部位では実績のある治療薬でさえ、あるいは世界標準となっているような治療薬でさえ、日本では受診できないという状況がつづいてきました。

 

現実のがんという病気は患者一人ひとり様々ですが、治療薬の方も必ずしも「乳がんの薬」は「乳がんならすべて効果があり」、「乳がん以外には効果がない」のではありません。 部位よりも、個々のがんの性質によって薬が効きやすい場合と聞きにくい場合があります。 ところが公的保険制度では、通常、部位ごとに、それもステージごとに、とか他のAとBという治療をやって効果がなかった場合に限って、とか治験の条件に合わせて、いろんな条件がついてきます。 本来、可能な限り、がんの性質を調べて、部位にこだわらずに適切な治療薬を選択するのが「あるべきがん治療の姿」です。 いわゆるテーラーメード治療と呼ばれるものが、がん治療においては重要なのですが、従来はレディーメードな保険適応条件通りに型通りの治療パターンを部位やステージ分類毎に「押し付ける」形の治療が行われてきました。

 

今回、動き始めた仕組みではゲノム診断に基いて、保険適応外の処方も可能になり、まあ従来から保険適応外処方は法的にできるのですが、混合診療規制があるため、保険診療機関ではできなかったのですが、今後、同一保険診療機関内で保険診療とゲノム診断によって適切と考えられた保険適応外治療も一緒に受けられるようにする、としています。

 

ANK療法そのものには、ゲノム診断は直接関係ありません。 基本的にNK細胞は、がん細胞がどのような変異を遂げていたり、変わり種であったりしても、がん細胞である限り傷害するよう多くのバリエーションをもつセンサー群を備えています。 ただし、ゲノム診断によってANK療法以外の併用治療が変わってくることがありますので、結果的にANK療法投入のタイミングや治療設計に影響がでることがあります。

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