TOPブログ > 政府調達予定ワクチン治験中断について

2020年09月11日

  

免疫

日本政府が1億2千万回接種分(2回接種ならば6千万人分)の条件付発注契約を締結したとされる海外メーカーのワクチン「AZD1222」の治験が中断になったことに関し、様々取り沙汰されています。

 

結論から申し上げると、治験中断など「よくある話」です。疾病が発現した方には大変、お気の毒であり、とにかく無事、回復されることを祈る他ありませんが、治験というのは、「そういうもの」、「想定内」という範囲のものです。逆に、そういうこともあり得るという説明が為され、納得の上、覚悟をしてでないと治験に参加してはいけません。 問題なのは、ワクチンが新型コロナ対策の決め手のようなトーンの報道が多いことです。何を根拠にワクチンが決め手となるレベルで有効と言えるのでしょうか。ワクチンができれば新型コロナウイルスは抑えられるなど、間違っても、そんな根拠希薄な甘い想定で、対策を練るべきではありません。

 

ワクチンというのは「山のように」開発が企図され、ほとんどが失敗に終わり、それも開発には延々と時間がかかります。それでもうまくいけばいいのですが、明確に感染予防効果を示したものというと数えるほどしかありません。

 

先ず今回の治験は典型的な二重盲検方式ですので、被験者も接種する医療提供側もどちらも、ホンモノのワクチンを使ったのか、プラシーボ(偽物)を使ったのかわからなくして、両者の結果の違いを比較します。ただし、第三者が、誰にはホンモノ、誰には偽物ということがわかるコードをもっており、何もなければ治験が終わるまでコードはブレークされず、最後に誰がどうだったかわかるようになっていますが、今回のようにだれかに重大な疾病が発生した場合、第三者がコードをブレークし、疾病が発生した人がホンモノ接種者なら、疾病の状況によってはいったん、新規の接種は中断となります。こういう仕組みなので、中断自体はシステマティックに第三者判断で実行されます。もっとも第三者といっても、メーカーから資金提供を受けて仕事をしているのですから真の第三者ではないのですが。治験で不正が多い最大の理由はここです。すべての関係者が治験の「いい」結果によって利益を受ける最大の受益者をスポンサーとして資金提供を受けている、全関係者が受益者と利害を共にしているという構造です。

 

さて、明確な予防効果を示したワクチンというと、天然痘に対する種痘、黄熱病ワクチンは成功例の代表格です。麻疹(はしか)のワクチンも小児に対する接種で小児の間は十分な感染予防効果を発揮します。成人するとワクチンの予防効果は消えてしまいますが、感染するのは多くが小児であるため、徹底して小児に接種を続けたことで麻疹ウイルスそのものが日本から激減し、感染する人は減ってきました。ポリオも流行した時に大量接種すると流行が収まるという実績はあげています。自然収束のタイミングと重なっただけではないか、とか、ポリオウイルスは常在ウイルスであり、そもそも栄養状態や衛生環境が異常でなければ発症はしないとか、議論はあるのですが、今回は細部は棚にあげます。要するに、「成功」もしくは「成功と考える人が多い」ワクチンは、ことごとく「生ワクチン」です。(ポリオワクチンは現在は不活化ワクチンが用いられていますが、最後の国内自然感染者が発生後、30年以上、自然感染がない状態が続いた後に、感染予防効果はあるものの、ワクチン接種によって二次感染が発生するケースが稀にある生ワクチンから、感染予防効果はあまり期待できないものの二次感染がほぼ発生しない不活化ワクチンに切り替えられたものです。つまり、如何に生ワクチンの方が不活化ワクチンより期待できるかという一例でもあります) 毒性を弱めたウイルスを実際に感染させるものですので、万一、毒性を回復すると大問題ですから、徹底して安定であるウイルスでなければ生ワクチンは開発できません。安定なウイルスというのは人間を宿主とするウイルスに限られ、他の宿主から感染してきた人獣共通感染や人工的なウイルスの場合は、通常、人体内で増殖する過程で頻繁にゲノム変異を起こす不安定なものになります。今回の新型コロナウイルス対策として開発中のワクチンは生ワクチンではないどころか、これまで一度も成功した例がない手法ばかりです。ワクチンには3000年前の医学書に記述がある人痘から数えればそれだけの長い歴史があるわけですが、結局、うまくいくのは生ワクチン、他はなかなか決定的な効果をあげることができないのです。なぜ、突然、今、新型コロナウイルスだけ、例外的に決定的に有効なワクチンが開発できるんだという根拠はどこにあるのでしょうか。 ワクチンに免疫刺激物質を混ぜておけば、多少の感染予防効果がでることはありますが、それならば最初から免疫刺激剤を投与すればいいわけで、実際、SARSウイルス感染対策の際はこれでピタリととめたのです。ワクチンを開発するというのはものすごく遠回りをしていて、今一つ成算の薄いものですが、一つだけ効果として考えられるのは「ワクチンは決め手」と「思っている人」が多いため、人々に安心感を与えるというものです。 それならいっそ、プラセボ効果を狙って、塩水を接種した方が事故も起こらないし、世の中が落ち着くなら案外、現実的な対策になるかもしれません。黙ってやらないとプラシーボになりませんが。いい加減に思われるかもしれませんが、そもそも二重盲検方式をとる理由は、プラシーボに結構、効果があるからです。 たとえば、ホンモノの医薬品を投与したグループの65%に効果がみられたとしても、プラシーボを投与したグループの50%に効果がみられた、この場合、真の奏効率は15%に過ぎないという考え方があります。どういう薬か、ワクチンかによって、プラシーボ効果の出方はまるで異なりますが、プラシーボ効果が半分くらいは出る、これは多くの医薬品でみられる傾向です。 なので十分、プラシーボより高い効果を認めることが有効性判定の条件になっているのです。微妙な話ですが、もっとも安全で、案外、効果が実際にでるのはプラシーボをそうであると黙って接種することです。ただし、生理食塩水でもショック症状が出る人がゼロではありません。あるいは、2009年の新型インフルエンザパンデミックの時のように、9900万人分のワクチンの輸入契約を締結し、実際には2千人少ししか接種せずに大半を廃棄したわけですが、「ワクチンは確保していますよ」と国がアナウンスすることで安心する国民が増えるなら、そして、実際には接種しないのですから、有害事象は発生しませんので、ある種の心理効果がでる、そういう辺りを政府は狙っているのかもしれません。2009年の時にも、日本政府はキャンセル不可、ワクチンメーカー側は日本政府が事故発生時の補償制度を整備しなければいつでもキャンセルできるという「不平等条項」が国会でも問題とされましたが、今回も基本的には同様の契約内容となっている「模様」です。政府はクリアには回答していませんが。少なくとも、メーカー側は事故は起こるものという前提で、起こった際の補償を国に要求しています。2009年のようにワクチンを買っただけで使わなかったら、国費の浪費以外に誰も困る人がいないという構図になっています。 よくわからないワクチンに国費を使うのはとんでもないと大声を上げる人は見当たりません。国民がなんとなくワクチンがいいのでは、という雰囲気が維持されている限り、一番、丸く収まるのは大量発注、ワクチン確保、そして使わない、です。 

 

一方、本気で強い免疫刺激効果を狙うワクチンほど、強い副反応はあるものですので、大量に使えば必ず事故は起こります。 「安全性の確認」を強調するのですが、やっているのは「危険性の確認」です。こういうところから言葉を誤魔化しているので、一人、事故が起こるとそれはもう大騒ぎになるのです。事故は起こる、犠牲者はでる、それでも接種するだけ有効なんだ、という根拠を示せるのかどうかが重要です。今のとところ、国は「効果はわらかない」と正直にコメントしています。 

 

今回、治験中断になったワクチンはアデノウイルスの遺伝子を改変して、一度、感染はするものの、感染した細胞でウイルスのコピーを量産することはないように工夫がしてあります。そしてアデノウイルスにコロナウイルスの遺伝子をつなげてあるので、感染した細胞がコロナウイルスのたんぱく質を作り出し、これが免疫を誘導するとしています。 アデノウイルスというのは通常、それほど激しい症状を起こさないもので、そこへ更に毒性を弱める加工をしてあるのですが、逆にいえば、弱いアデノウイルスに感染したくらいで、免疫はそれほど反応しません。これをワクチンに仕上げるには、非常に強い免疫刺激物質を混ぜておいて免疫システムを警戒モードに持ち込む、など、何かしないと、単に弱いウイルスが入ってきて、何か異物を作り始めた細胞がいる、というだけではあっさり自然免疫によって排除されてそれで終わりになってしまいます。 一方、強い免疫刺激をかければかけるほど、神経障害をはじめ、何か副反応が発症するリスクが高くなります。 また治験でいくら調べても、治験参加人数とワクチンを実使用する際の人数は桁が違います。 やってみないと何がおこるかわからない、通常、何か起こる、そこをしっかり説明し、かつ実は、感染予防効果を明確に示せたワクチンはごくわずかに過ぎない事実も国民に周知徹底するべきであり、なんとなくワクチンつくればいいのでは、それが決め手でしょう、という何の根拠もないあやふな話を報道し続けるのは大いに問題です。

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