TOPブログ > ロシアが新型コロナウイルスワクチン承認

2020年08月14日

  

免疫

ロシアのプーチン大統領が新型コロナウイルス用のワクチンを世界に先駆けて承認したと発表しましたが、今のところ、日本や他の先進国の反応は「シーン。。。。」と静観の構え。国によってはいや、うちは発注する、というところもあり、プーチン大統領は供給能力について、国内総需要を上回るもので輸出も考えているとしています。 

 

1960年、もう60年前の話ですが、日本でポリオウイルスが大流行し、正式名ではないのですが「小児麻痺」というと当時の人で知らない人はいないでしょうというほど大問題となりました 。その際、三菱商事がソ連製のポリオ生ワクチンを緊急輸入しました。他国産のも含めて1000万人以上と聞きましたが、多くの小児に接種したところ、翌年から流行は下火になりました。 ワクチン開発の仕事で苦戦が続いていた時、ワクチンというのはそんなに簡単なものではない、とぼやいたかどうか細部は忘れましたが何かネガティブなことを呟いたら「君、何を言ってるんだ!」と「感謝状」を見せられたことがありました。 ポリオ緊急輸入に対して厚生省(今日の厚生労働省)だったか、総理大臣だったか、細かいことと言ったら怒られますが、とにかく「国」から感謝状をもらったんだそうです。 「君もこういう仕事をするんだ!」と当時を知る人から檄を飛ばされたました。  ううん、、、 そのワクチン、問題もありますよ、、、 と少し批判めいたことを言うともう烈火の如く激怒され、「君ね、子供が助かったんだ、多くの子供があのワクチンで助かったんだ!!!!」と、他の話は聞く耳なし、という状態でした。 ま、それはそうなんで、そうなると反論というより議論ができないのですが、ワクチンというのは推進派も否定派もどちらも「熱く」なり相手と正面から議論をするという姿勢は見られません。 私はどちら派でもなく、いくつかのワクチンにはいくらかの効果があることは認めており、かといって感染症というと条件反射的に「ワクチン!」と多くの人が反応するにはものすごい違和感があります。 簡単に言うとワクチンはそんな簡単なものではない、ということです。 ちなみに「当時を知る人」は、バイアルに入っていたワクチンを見ると、明らかにバイアル毎に分量が異なり、平気で倍くらいは差があった、と。 これで品質管理をまともにやっているのかという不安は感じたそうですが、当時は国全体が有無を言わさず「ワクチンを早く!」だったそうです。 接種時の免疫応答は人によってあまりに差が大きいので倍の量のズレがどれだけ問題なのか、逆にただでさえ大きな個人差をさらに増幅させるので大変まずいのか、一概には言えませんが、生ワクチンの場合は、生理活性がある添加物はほとんど加えませんので、化学物質の量の多い少ない、というより、ウイルスの「質」の問題が大きいです。 生ワクチンは実際に毒性を弱めたウイルスを感染させるものですので、どのみち体内で数が増えますから、多少の多い少ないより、体内で毒性を発揮するかどうかが問題です。 生ワクチンとして毒性を弱めたウイルスがどれだけ安定なのか、元の強毒性に戻ってしまわないのか、という問題と、他のウイルスが混入していないのか、の二点が安全管理上の焦点となります。

 

今回ロシアで承認されたワクチンは、むしろ添加物に対する反応や、下手に抗体を誘導したためにADE(抗体依存性感染増強、抗体がウイルスを保護して細胞内に運んでしまうことで重症化するもの)や、過剰な免疫応答を誘導することで発症する肺炎をはじめ、ワクチン効果が逆向きに出るリスクなど、評価すべき項目は多いのですが、大規模治験もやらずに承認ですから使ってみないと安全性については何とも言えない、ということになります。効果についてもですが。

 

ポリオの場合は人のみを宿主とするウイルスですからヒト・ヒト間の感染を抑え続ければやがて撲滅に向かいます。 1960年の流行から20年かかりましたが、日本国内での自然感染はゼロになりました。海外ではまだ流行している地域があるため旅行者が感染することや、生ワクチンを経口摂取した子供は発症しないのですが、子供の腸内で弱毒ウイルスが再強毒化して糞便に混じり、これに大人が二次感染するワクチンによる感染が若干発生しています。 それでもウイルスの感染力を潰した不活化ワクチンよりも生ワクチンの方が断然、感染予防効果は強いので、基本的に生ワクチンを接種、流行を抑えこんできたら暫時、二次感染の心配が小さい不活化ワクチンへ切り替えという方策がとられます。ポリオの生ワクチンの場合、血液中の中和抗体だけではなく、粘膜に分泌されるタイプの中和抗体も誘導します。このタイプの抗体はウイルスを粘膜の水際でブロックする上、消化管内にも中和抗体が放出されるため、ウイルスを道ずれにそのまま排泄してしまう効果も期待できます。不活化ワクチンを口から接種したら直ちに消化されますからよほど大量に投与しないと効果を期待できませんが、一方、不活化ワクチンはアジュバンドと呼ばれる増強剤を添加し、その中には強い免疫刺激効果をもつ薬剤が添加されるため、大量に経口投与というわけにもいきません。簡単にいうと生ワクチンは免疫システムにとって、ウイルス自体が十分刺激的なので余計な添加物は要らない、一方、不活化ワクチンは免疫システムにとって感染力を潰したウイルスなど大して刺激にもならないので、免疫応答を誘導するために強力な刺激物を添加する、一言でいうと「化学物質として危険なもの」なのです。 そこで、不活化ワクチンは皮下接種されます。するとどうしても血液中の中和抗体しか誘導せず、これでは感染予防効果は期待薄です。 ウイルスは粘膜から入って、そこでもう増殖するのですから、血液中の中和抗体はウイルスが血液に侵入してくるまで接触さえしません。

 

さて、新型コロナウイルスに対する生ワクチンを開発すれば20年で新型コロナウイルスを撲滅できるのかというと、それは無理です。 新型コロナウイルスを実験動物に強制感染する実験が世界各地で行われています。 無理やり感染させるので、結構いろんな動物にヒト新型コロナウイルスが感染はするのですが、あまり感染が持続しない、つまり宿主になる動物は多くはないのです。それでも中には安定的に感染が持続する動物もいます。 まだ結論をだすには早いですが、人間以外にも宿主がいると考えるのが妥当でしょう。そもそも突然、現れたように見えるわけですが、人知れず、感染していたものの毒性が弱すぎて気づかれなかっただけなのか、どこかに自然宿主がいるのか、この辺りは結論は出せません。武漢の研究所が宿主だったとすると、2つあった内の一つはもう爆破されましたから、宿主は消滅した可能性もあり、今、流行しているのを排除すれば撲滅できるのかもしれませんが。

 

まずヒト以外に宿主がいればもう撲滅は無理。その動物を絶滅させない限りは。 また生ワクチンが開発できなければ、効果的に感染予防するのも非常に難しい。これまでの新型コロナウイルスのゲノム変異が早いとみるか、遅い、つまり安定しているとみるかは単なるゲノム変異のスピードだけではなく、「そこが変異すると毒性に大きな影響がでる」ところが変異するかどうか、を観ないといけないのですが、これはまだ結論を出すのは早すぎます。 どうも変異が早いという印象はありますが。 安定なウイルスでなければ生ワクチンはつくれません。 弱毒株をつくったと思っても、すぐに強毒性に戻ってしまうからです。どのみち生ワクチンを実用化するには延々と時間をかけて、通常、候補のワクチンができて10年以上は再強毒化しないことを確認しないと「危ないウイルスを世界中にバラまく」ことになってしまいますので、新型コロナウイルスに対して、年内とか来年のうちに生ワクチンを接種するなど「やってはいけない」ことです。

 

つまりワクチンができるんだからそれまで自粛など、暴挙だということです。 ワクチンは当分こない、きたとしても新型コロナウイルスの場合はあまりワクチンの感染予防効果を期待できない、という前提で、自粛などをどうするのか考えるべきです。 

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