TOPブログ > 「自分だったら怖くて打ちたくない」国産ワクチン開発に挑む研究者の“意外な本音”

2020年09月20日

  

免疫

文春オンラインに、「自分だったら怖くて打ちたくない」国産ワクチン開発に挑む研究者の“意外な本音” というタイトルの記事がでていました。河合 香織さんという方が書かれたものです。従来から大手メディアの流す医療情報は極端な偏向がありますが、今回のコロナウイルス騒動では、従来通りの偏ったものから、そうでもないものまで様々な情報が飛び交うようになってきました。 大手メディアの基本線は「ワクチン信仰」に基く「ワクチン礼賛」です。今回の記事を書かれた方も「最前線の研究者たちの話を聞くうちに、ワクチンさえできれば流行が収束に向かうといった見通しの甘さに気づかされた。」と吐露されていますが、「ウイルス感染症」→ 「ワクチンができれば大丈夫」 概ね、ワクチンで感染症を抑えることができるという大前提で書かれるものが大半でした。 今年に入ってからは、抗体をつくればいいわけではない、抗体はウイルスを守ったり、感染の手助けをすることもある「抗体依存性感染増強(ADE)」というのもある、というワクチン開発に従事する者なら、私もそうでしたが「新人さん」の時に叩き込まれるワクチン開発の落とし穴、何十年も前からよく知られいてる業界内常識について、ようやく一般向け大手メディアも取り上げるようになってきました。 

 

今回の文春さんの記事にはズバリと

呼吸器ウイルスにおいて、感染防御できるワクチンはこれまでになく、さらに終生免役を獲得できるワクチンも今のところないという。

 

このあったりまえの業界内常識をそのまま書いてあるのですが、大手メディアの記事として読むとなかなか新鮮な印象があります。なお、BCGワクチンは小児の結核感染予防効果が認められますが、結核は細菌であってウイルスではありません。

 

これからのフェーズにおいては日本ならではの壁もある。たとえば、治験の第3相試験において有効性を見極めるためにはある程度の感染が蔓延し続けることが前提であり、今の日本の感染状況では難しいのだという。

ここもよく書いたと、拍手を送りたいです。つまり日本では新型コロナウイルスはそれほど流行していませんので、ワクチンの治験をやってみたものの、実際に感染する人がどれだけでるのか、あるいは感染を現実に防いだと効果判定するには、市中でウイルスが流行しており、ワクチンを接種しなかった人の多くが感染し、ワクチンを接種した人の多くが感染しなかったという「実績」をトレースする必要があるのですが、日本の場合、それは難しいということです。ワクチンを接種しなくてもそもそも感染する人がごく少数だからです。これを冷静に考えれば「なぜ、未だに自粛要請なんかやっているわけ」と記事に書いてはいませんが、論理的にはそういう帰結になります。

 

「今はとにかく開発を急げと言われて早くできるワクチン開発を優先させていますが、次に見据えているのは感染防御し、流行をコントロールできることが期待できる経鼻ワクチンです」

 

これもまた業界内常識です。気道や口腔内粘膜から感染するウイルスの感染を予防するには、感染経路に沿ってワクチンを接種する。現実に実用化されたものはないのですが、逆に、それ以外の経路のワクチンは壊滅状態であり、実験レベルでは経鼻や口腔内投与の方が好ましい結果がでています。ただし、呼吸器ではありませんが、ポリオの経口生ワクチンは消化管から感染するポリオウイルスに対する感染予防効果が確認されており、そして不活化ワクチンは感染予防効果があるとは言えません。新型コロナウイルスの場合、生ワクチンは使えませんから、ハードルの高い挑戦にはなります。

 

今頃になりましたが、ご興味のある方で、まだ読まれていない方は原文をご覧ください。

文春オンラインさんの記事

 

記事を書かれた方が「業界人」特有の物の言い方にひっかかっているポイントは、ワクチンには感染予防のものと、重症化防止のものがある、というポイントです。 種痘、黄熱ワクチン、麻疹ワクチンなどはいずれも生ワクチンであり、感染予防効果も重症化防止効果もどちらも発揮します。感染予防効果は認められないものの重症化防止効果が確認されたワクチンというのは実在しません。インフルエンザに対する皮下接種される不活化ワクチンの感染予防効果は臨床上も、メカニズム上も、実験上もいずれも否定ないし確認できないことが明らかになってしまい、今日では感染予防効果は期待できないことは公的な事実となっています。それでは「困る」ので、「重症化防止を目的とする」と言ってるだけであって、重症化防止効果を確認できているわけではありません。

 

文春さんといえば、かつては「がん標準治療礼賛、免疫治療全否定」から、免疫チェックポイント阻害薬が登場すると、今度は「免疫チェックポイント阻害薬礼賛、免疫細胞療法全否定」にひっくり返り、「免疫チェックポイント阻害薬の重篤な自己免疫疾患発生による副作用は治療効果を上回る事実」についてはほぼ報道しません。さて、免疫細胞療法CTL019が保険適応になった今、どうひっくり返るのか知りませんが、今回のウイルス騒動では、「みんながおんなじ決まった信仰のような偏った情報だけを流す」状況から、記者によって異なる視点からの情報が報道される状態に変わってきています。そろそろ、がん細胞や、特に、がんの再発・転移の核になるがん幹細胞を狙い撃ちで始末できるのはNK細胞しかいないという科学的事実や、欧米のがん治療薬の8~9割はもはや免疫重視の分子標的薬であり、NK細胞の活性を高めるADCCが重視されている事実、免疫チェックポイント阻害薬も結局はT細胞の活性化にとどまっているため効果の切れ味がよくなく、ドイツメルクや、ドイツメルクからライセンスを買ったグラクソなどはNK細胞を誘導する第二世代の免疫チェックポイント阻害薬に開発をシフトしている事実、またさきほどの健康保険が使えるようになった免疫細胞療法についても、CAR-TというT細胞ベースではもう限界にいきつき、NK細胞ベースのCAR-NKに開発が移っていることなど、フェアに事実を報道する方向へ軌道修正していただければ、毎年43万人、つまり新型コロナウイルスによる死亡と「されている」人のおよそ360倍の人が命を落としているがんという病気に関し、先のない標準治療の枠に患者さんを閉じ込めてしまう偏向報道から、人の命が助かる可能性を開く役に立つメディアへの変身を目指していいただきたいと切に願います。 がん患者の会が事業会社化した会社として、元末期進行がん患者として。

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