TOPブログ > 塩のお話 (3) 塩抜きの塩

2008年12月18日

  

えとせとら

2008.12.18.

戦後ほどなく、GHQのご指導により、専売制度が制定され、
塩、たばこ、アルコールの専売公社が設立されました。

専売公社は、名前の通り、「専ら(もっぱら)売る」組織です。

塩の専売公社は、塩の総発売元となりましたので、
大昔から塩をつくってきた製塩業者であっても、自分の
ブランドの塩を、自分で売ることは許されなくなりました。
全ての塩は、専売公社から発売されました。

一方、塩を作るのは公社ではなく、商社の仕事です。
商社が海外で、相手の政府と共同で立ち上げた製塩事業会社が
日本向けの塩を生産しました。 メキシコのエッサには、世界最大の
塩田がつくられ、日本の総需要の過半数を押さえます。
別の商社がオーストラリアにつくった塩田も、日本の総需要の4分の1
以上のシェアを確保します。 残りを、他の商社が分けました。

メキシコの広大な敷地に、海水を溜めるプールをつくり、
太陽の熱と風だけで、3年かけて、海水中の水分を飛ばします。
こうしてできた塩を「天日塩」といいます。
一抱えもあるような巨大な塩の結晶体で、少し透き通った感じがする
白色の四角いキューブがいくつも重なったような形をしています。

この天日塩を船で日本まで運び、食用の塩のみならず、工業用原料や
加水分解して苛性ソーダや塩素、塩酸などをつくります。 ビバリーヒルズ
にあるハリウッド俳優の高級住宅のプールを消毒するシアヌール酸
も、こうした「塩コンビナート」から作り出されたものです。
医薬品や農薬の中間原料としても世界中に販売されます。
かつての伝統的製塩業者が、塩をつくる仕事から、塩素を買って、
塩化反応により医薬品農薬中間体を生産する
仕事へ転換していったのです。
この手の日本が得意とする塩素製品が、枯葉剤の原料に使われた、
ということで、メディアに叩かれたこともありました。

さて、太陽の熱と風、自然のエネルギーを一杯受け、3年もかけて
成長した天日塩の結晶。

とっても、ナチュラルな、響きを感じられる方もいらっしゃるでしょう。

ですが。
これ、工業原料としては、優れているのですが、
人間様が口にするには、非常に、いびつな物質です。
塩化ナトリウムの塊なのです。

ナトリウムばっかり摂取すれば、ナトリウム過多となり、
必死に、ナトリウムを排泄しようとして、腎臓も心臓も
血圧を上げるシステムを稼動させます。
「塩を取りすぎると血圧が上がる」のです。
問題は、塩なのではなく、ナトリウムだらけ、
他の塩を根こそぎ抜き去った
塩抜きの塩を取ることにあります。

専売制が廃止され、地方ごとの、「こだわり塩」が事業化され、
スーパーでも、沢山の銘柄を売っています。

これはじゃあ、ほんとにいい物か、というと、ある種の妥協の産物です。
国内産こだわり塩の殆どは、オーストラリアの天日塩を買ってきて、
水に溶かし、にがりを加えて、再び白い粉にしたものです。
にがり、といっても、どういう素性か書いていません。
単純に、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化カルシウムなどを
加えているだけなら、天日塩よりはマシですが、相変わらず、大半の
ミネラル成分が抜けていることに代わりはありません。

海水を煮詰めると、どうしても、水分が飛びにくい成分が残ります。
更に加熱すると、塩が焦げるので、火力だけで水分を完全の飛ばすのは
限界があります。 ある程度、最後に残った液体、つまり「にがり」成分は
流すことになります。  意外にも、自然の力だけでつくられた天日塩が、
自然の状態からは程とおいナトリウムの純品で、火力を使って、短時間に
海水を炊き上げた塩の方が、遥かに、自然界で必要とされているミネラル
成分を沢山、含んでいるのです。

色んな塩を試してみましたが、大量に流通しているもので、しっかり火力を
使って海水を煮詰めているのは、「海の精」という伊豆大島でつくられた
ものです。 私は、「満月の塩」という、更に特別な製法でつくったものを
使っておりますが、これは、大量生産されていませんし、市場には出回って
いません。 高級レストランなどは、わざわざ仕入れているようです。
また、同じブランドで、別の業者が出しているものもあります。

私は、こだわりのなんとか、とか、健康食品の類は大嫌いなのですが、
流石に、毎日、取る水と塩、コーヒー、これだけは、特別なものを使って
います。  明日以降、自然界で、どれ程、ミネラルが重要か、動植物の
ミネラル争奪戦について、書かせていただきます。

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