がんと闘う免疫細胞

ANK療法の治療設計は、他の免疫(細胞)療法とは大きく異なります。
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ANK療法は医療行為ですので、治療をお申込いただくには、必ず、ANK療法を実施可能な医療機関にて、ご面談をいただく必要がございます。ANK療法担当医とのご面談は、早ければ早いほど、治療の選択肢が多くなります。

このサイトでは、免疫細胞療法の考え方、ANK療法の原理、標準治療や他の免疫細胞療法との違い、などを説明させていただいております。ANK療法を受けようとお考えの方で、「具体的に、どうすればいいのか」をお知りになりたい方は、ANK免疫細胞療法・治療の流れをご覧ください。

血液成分分離装置

まず、がん患者さん本人の血液を血液成分分離装置というものを通しながら体の外に循環させます。延べ5リットルから8リットルの血液を少しずつ装置に通して、リンパ球という免疫細胞を採り分け血液そのものは体に戻します。血液から分離採取された濃縮リンパ球は人の手で運ばれ京都にある専用細胞培養センターに持ち込まれます。そこで原則3週間(状況により2~4週間)培養し、リンパ球の中のNK細胞だけを活性化しながら増殖させます。

増強された(Amplified)NKの略でANK療法と言います。培養ANK細胞は静脈への点滴で体内に戻します。NK細胞はがん細胞がどんなに姿や性質を変えても逃さず正確に認識・攻撃し、しかも正常細胞は傷つけない能力を持った状態で生まれてきます。標的を覚える学習プロセスは必要ありません。NK細胞は全身のほぼどこでも巡回して、腫瘍がどこにできたものであっても、がん細胞を見つけ次第に傷害する生まれながらの「がん細胞ハンター」です。体内に戻されたANK細胞は半時間ほどでくまなく全身を巡ります。その間、近くに腫瘍組織があれば血管壁のスリット等から飛び出して標的に殺到し、直接がん細胞を攻撃します。一方、体内には活性が下がってしまった仲間のNK細胞がたくさんいます。がんは目の上の瘤であるNK細胞を眠らせながら増殖しますので、進行がん患者さんの体内のNK細胞は活性が下がってしまっているのです。ANK細胞は周りに活性が下がったNK細胞がいると、これらを叩き起こすように免疫刺激物質を大量放出します。→ ANK療法とは

ANK細胞が点滴後に体内で大量放出する免疫刺激物質の作用としてどうしても熱が出てしまいますが、自然に治まります。また初めて点滴する時にはかなりの熱が出ることがありますが、点滴を重ねていくと体内のNK細胞の活性も上がってくるため、ANK細胞が放出する免疫刺激物質も自然に調整され、初回点滴の時ほど熱が出なくなっていく傾向があります。→ よくある質問・発熱が心配

一口に免疫といっても、免疫細胞の種類はたくさんあり、そのほとんどがウイルスや細菌などを認識・攻撃するもので、感染症に対応するために存在しています。こうした外からきた異物と闘う免疫細胞はたくさんいるのですが、がん細胞は本人の細胞であって異物ではありません。そのため免疫細胞の大半は、自分自身の細胞であるがん細胞を認識したり攻撃することができません。ANK療法は、数ある免疫細胞の中でも、複雑なセンサー群を多種大量に備え、がん細胞を見つけ攻撃するために生まれてくる「がん退治の専門家」NK細胞をそのままがん攻撃に向かわせるシンプルながん治療です。
さて、進行がん患者さんが激しい急性感染症になってしまった、など非常に強い免疫刺激が加わった場合に、がんが消失して再発しない、つまり事実上「治った」様な状態になる現象が昔から知られています。免疫の力にはがんを克服する能力があると考えられてきたのです。
免疫細胞の一種であるT細胞の、さらにまたごくごく一部が、がん細胞を傷害することはわかっていましたが、ごく特定の一部のT細胞が、ごく特定のがん細胞のみを攻撃するだけであり、事実上の完治という現象を説明するにはがん攻撃戦力として不十分です。もっとがん退治が得意な免疫細胞が他に存在するはずである、と考えられました。
そこで、健康な人の血液に強い免疫刺激を加えてから、様々ながんの標本細胞を投入する実験が延々と繰り返されました。そして、ついに「活性が高ければ」どんながん細胞でも出会ったその場で直ちに攻撃する能力をもち、しかも正常細胞は傷つけない理想的な性質をもつリンパ球(免疫細胞)が見つかります。
新しく見つかった、がん細胞を殺すために生まれてくる免疫細胞に自然免疫に属する殺し屋という意味で「ナチュラルキラー」細胞と名前が付けられ、「生まれながらの殺し屋」との異名や略してNK細胞とも呼ばれるようになりました。がん細胞を傷害する能力では他の免疫細胞を寄せつけません。(自然免疫というのは初めて遭遇する相手でもいきなり発動するように生まれた時から予め備わっている免疫のことを言います。)
T細胞や樹状細胞は、古くから知られ培養が容易なために研究や学生実験の材料としても広く用いられていますが、「生まれながらの殺し屋」はなかなか人の思い通りにはならず、培養するのが大変難しいのが難点とされてきました。それだけ発見されるのも遅かったのです。→ なぜNK細胞なのか

「培養が難しいならば大量に採取すればいい」わかりやすい発想に基づき、米国国立衛生研究所NIHは、一人の患者さんから3日もかけて延べ数十リットルもの血液を体の外に循環させ、そこからリンパ球を分離採取し続けました。NK細胞の活性を高める作用をもつ免疫刺激物質インターロイキン2を進行がん患者さんの体に直接大量投与すると、がんを消すことができることは分かっていました。ところが、それでは副作用も激しくなり過ぎて効果と副作用のバランスが難しい。それならば、と、体の外に採り出したNK細胞を含むリンパ球集団に大量のインターロイキン2を加えて刺激をかけました。体の外ですからどんなに強い刺激をかけてもここまでは「安全」です。
NK細胞は培養条件を少し間違えるとすぐに自爆をしてしまい、扱うのがとても難しいのです。そうなる前に、また一緒にいるT細胞が爆発的なスピードで増え過ぎる前に、培養期間を3日以内に制限して、活性化されたNK細胞を体内に戻す手法が考えられました。そして実際に抗がん剤が効かなくなった進行がん患者さん数百人全員に何らかの効果が観られました。こうして米国政府研究機関が実施した大規模臨床試験により免疫細胞療法(NK細胞を用いるもの)の有効性が証明され、また非現実的なコストがかかってしまったこの臨床試験は実用化に向けての問題点や超えるべきハードルも明確にしました。→ 免疫細胞療法のエビデンス

この臨床試験を現場で指揮したNIHのロッテ医学博士からNK細胞のもっと実用的な培養技術について相談を受けた京都大学の研究者と、もう一人の共同研究者の二人が、NIHが成し得なかったNK細胞の「活性化と選択的増殖(NK細胞だけを増殖させる)」培養技術を実際にがん治療に使えるレベルで実現します。そして活性化と増殖の両方の意味を込めて(Amplified = 増強された)、ANK自己リンパ球免疫療法(ANK療法)と名付けました。→ ANK療法とは

先ず大きな病院等で健康保険が使える範囲の検査を受けられて、治療方針をよく聞いてください。日本では多くの場合、保険診療における標準治療として三大療法(手術、放射線、抗がん剤)を勧められます。→ がん治療の基本
ところがANK療法をはじめ、保険診療以外のがん治療は「混合診療規制」により、保険診療機関で受診することができません。国民のお金を使う保険診療においては、医師個人の自由裁量はほとんど認められません。診断結果に応じて細部まで予め決められたルール通りに治療しなければなりません。保険診療の医師に保険診療ルール以外の治療についてあれこれ聞きたくなるお気持ちはわかりますが、医師側は答える立場にないのです。「当院ではこういう治療を勧めますので受けるか受けないかを決めてください。他の治療のことはここでは説明できない。」一方的な印象を受けるかもしれませんが、これが医療制度の中で保険診療医が置かれている正式な立場です。
たとえば欧米では、がんの治療薬といえば分子標的薬が主流であり、従来型の抗がん剤はむしろ脇役に過ぎなくなっています。ところが、日本の保険診療ではまだまだ昔ながらの抗がん剤治療が主流であり、分子標的薬は脇役扱いです。→ 分子標的薬とADCC活性
日本の公的医療制度は非常に複雑で大きなシステムであり、新しい変化には弱いという一面もあります。世界の標準に追いつくのにも時間がかかります。「この薬は海外では標準なので私にも使ってください」と日本の保険診療の医師に頼み込んでも「保険診療のルールに載っていない」のでどうしようもないのです。そこで、保険診療機関で、まず保険診療のルールに則った標準治療の内容やスケジュールなどをよく聞いて頂き、基本的に標準治療を受けられるという前提で、それと同時並行で保険診療を補う自由診療の選択肢もご検討頂くことをお勧めします。
ANK療法についてご自分の病状に合わせて具体的にどう治療を進めるのかという医療相談を受けられるのは、ANK療法実施医療機関として国に届出を受理された医療機関だけです。→ 実施医療機関
ANK療法以外の免疫細胞療法として様々なブランド名で呼ばれるものがありますが、ほとんどが注射器で血液を20ミリリットルか多少多めに採り、2週間培養して点滴し、点滴後は若干の微熱などを除いてほとんど免疫副反応がないというものです。一般法による免疫細胞療法を提供している医療機関は全国に1000ケ所近くあります。そこではANK療法の説明や治療を受けることは認められていません。
なお、数リットルもの血液から細胞を集め、原則週に2回のペースで点滴し、点滴の度に強い免疫副反応を伴うANK療法と一般法とは全く異なりますのでご注意ください。→ 免疫細胞療法の違い
ANK療法を受けられる医療機関は厚生労働省のHPに記載されていますが、一覧にはなっておらず、膨大なページの中から見つけるのも大変かと存じます。「自分は●●に住んでいるが、最寄りのANK療法実施医療機関はどこなのか」等、基本的なご質問は私どもへご連絡ください。→ 実施医療機関

ごく一部の例外を除いて、がんの部位は原則問いません。(脳の中にはNK細胞が入りにくいのですが、他の治療との併用で治療できることがあります。それ以外、部位は問いません。)
年齢も問いません。ただし、小さなお子様で体液の量があまりにも少ない、聞き分けがない、という場合は治療ができないこともあります。高齢の方でも治療可能で、90歳台の方の治療実績もあります。
白血病に関しては、培養器にがん細胞が混入します。そのため、混入がん細胞が培養中に増殖する一般の免疫細胞療法は実施不可です。一方、ANK療法の場合は、条件によっては培養中にANK細胞が混入がん細胞を一掃できますので治療可能なことがあり、著効症例報告という形で国際論文として発表しています。

ANK療法実施医師との面談は「早ければ早いほどいい」です。
抗がん剤や放射線療法によってNK細胞が傷つく前にANK療法の培養を済ませて凍結保管しておき、抗がん剤や放射線療法によってがん細胞の総数を大雑把に減らしてからANK療法で残ったがん細胞にとどめを刺すのが理想的な治療パターンですが、抗がん剤や放射線療法を受けられた後からでも治療はできます。ただし、少しでも「傷む」前のNK細胞を採取する方が有利ですので、抗がん剤や放射線療法の治療途中であっても直ちにご相談ください。また、手術前にご相談いただくとANK療法以外の治療としてT細胞を用いたCTL療法をほぼ無償に近い形で提供できることもあります。

ANK療法の相談は早ければ早いほどよい ということです。相談したらかといって治療を申し込む義務はありませんので、あれこれ悩む前にまず相談です。→ ANK療法の手順

がん細胞が発生した部位にすべて留まり体内に1個しか腫瘍がない場合は、手術で取り去ることで、ほぼ大丈夫です。早期発見早期治療で助かる方は大勢いらっしゃいます。
問題は、がん細胞、特に腫瘍組織の「種」になる「がん幹細胞」が飛び散ってしまっているケースです。大きな腫瘍も元は「種」であるがん幹細胞から発生したと考えられます。
飛び散ったがん幹細胞を直接みつける手段はありません。画像に何も映らず、腫瘍マーカーも全て正常で何の自覚症状もなくても、実際にはもう転移が成立している可能性があり、やがて腫瘍が大きくなって画像に映るようになると再発や転移という診断になります。保険診療の枠組みだけでは、がん幹細胞が飛び散り再発転移に至る状況になると延命を目的とした治療しかできなくなります。
手術、放射線、あるいは重粒子線や陽子線といった局所療法では方々へ飛び散ったがん幹細胞を取り除くことができません。また、放射線や、抗がん剤に対してがん幹細胞は強い抵抗を示し生き延びます。
最近では免疫チェックポイント阻害薬が使われるケースがありますが、今のところ主にT細胞の活性を復活させるものであって、NK細胞はそれほど活性化されないと考えられています。T細胞は、がん幹細胞をほとんど認識攻撃できないのです。
がん患者にとって結局、手強いのは再発転移、その種となるのががん幹細胞、そして体内に飛び散ったがん幹細胞を傷害できるのは今のところNK細胞以外に見つかっていません。
手術、放射線、抗がん剤、ホルモン療法剤、重粒子線、陽子線、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬、それぞれに特性があり、これらをうまく組み合わせる「集学的な治療」でがんを追い詰めていくことが推奨されますが、要となるがん幹細胞を仕留めるのはNK細胞以外には難しいため、ANK療法は重要な切札とお考えください。→ ANK療法と他療法との併用

1クールという単位で週2回を原則として、12回の点滴を行います。自由診療で行う治療です。治療費は各医療機関にて設定されているため、治療費に関しては各医療機関のサイトをご確認ください。

最近まで免疫細胞療法を「承認申請」して健康保険の適応を取る仕組みがなかったため、自由診療で行う他ありませんでした(健康保険が使えません)。治療効果の問題ではなく、新しいタイプの医療であるため「該当する法律がなかった」のが理由です。近年急速に細胞医療を規定する法整備が進み、2019年には健康保険が使えるようになった免疫細胞療法も登場しました。私どもも健康保険適応となるよう承認申請の準備を進めておりますが、それには巨額な資金が必要ですので海外の大手企業との提携を模索中です。→ 健康保険の適応および承認取得について

リンパ球バンクは、京都大学で研究段階にあったANK療法を受け、進行がんを克服したがん患者らが、この治療を普及させる目的で創業しました。つまり、「がん患者の会」が事業会社化されたものです。

がんは体内の免疫細胞を眠らせながら増殖します。詳しく調べると、進行がん患者さんの血液から採られたNK細胞は、ほぼ例外なく極端に活性が下がっていることがわかりました。がんは免疫病であり、もっと正確に言えば「NK活性低下病」ということなのです。なお、NK活性というのは実際にがん細胞とNK細胞を「決闘」させ、決められた条件内でどれだけがん細胞が傷害されるかを「測定」するものです。研究レベルであれば高い精度で測定できます。

米国国立衛生研究所(NIH)は大規模な臨床試験により免疫細胞療法の有効性を証明します。ご参考のため末尾にニューイングランドジャーナルオブメディシン誌に投稿された論文の明細を記載しておきます。(*1)
NIHは、3日間かけて一人の患者さんにつき延べ50リットルレベルの血液を体外循環させ、血液の大半の成分を体に戻しながらリンパ球を分離採取しました。その中には数十億個ほどのNK細胞が含まれていました。これに膨大な量の高価なインターロイキン2を浴びせます。そして高度に活性化されたNK細胞を速やかに点滴で体内に戻しました。米国LAK療法と呼ばれる治療です。抗がん剤が効かない末期進行がん患者さん数百人全員に何らかの効果が見られ15~25%のケースで腫瘍サイズ半減以下となりました。活性を高めたNK細胞を数十億個レベルで投与すれば効果を発揮することを証明したのです。
ところが巨大な腫瘍が壊死を起こして一気に崩れてしまうこともあり、飛び出した大量のカリウムで心停止に至る等、様々な問題がありました。強過ぎる免疫副反応対策のため治療は集中治療室ICUを占拠して行われ、余りにもコストがかかり実用化は見送られました。米国LAK療法は日本でも検証が行われましたが米国よりも予算規模が桁違いに小さく同じ条件で追試されたことはありません。そのため、当初言われたような効果はないとする報告が続きましたが、NIHが本気で厳密に検証した明確なエビデンス(実際の治療として有効性を証明)を否定できるものではありません。
米国LAK療法はローゼンバーグ博士が予算取得などを行いましたが実際に現場の治療を指揮したのはロッテ医学博士です。当時インターロイキン2発見者であるケンドールスミス博士をはじめ免疫細胞の研究者が集まっていたダートマス大学にロッテ医学博士が講演に来られました。
NK細胞の活性を上げることはできても細胞分裂が始まると高い攻撃力ゆえにすぐに自爆してしまう。また混在するT細胞が爆発的なスピードで増殖し莫大な培養コストがかかりますが、がん細胞を攻撃するT細胞はごく一部です。そこで培養期間を3日間以内に制限して、大量の血液からNK細胞を集め、活性だけ上げて増殖を始める前に培養細胞すべてをすぐに体内に戻したのです。
「高度に活性を高めたNK細胞だけを選択的に増殖できればがん治療は変わる」のですが実用的な培養技術が存在しませんでした。ロッテ医学博士は「そのような培養法がありますか?」と当時ダートマス大学に在籍していた勅使河原計介医学博士(インターロイキン2レセプター発見者)に専門家としての意見を求めました。(インターロイキン2レセプターは免疫チェックポイントの一種で、免疫細胞の表面にあり、インターロイキン2を受け止めます)
京都大学に戻った勅使河原計介医学博士は当時大学院生だった大久保祐司医師と共同でNK細胞の「活性化と選択的増殖(NK細胞だけを増殖させる)」技術を実際にがん治療に使えるレベルで実現し、活性化と増殖の両方の意味を込めてA(Amplified = 増強された)、ANK自己リンパ球免疫療法(ANK療法)と名付けました。

1993年より開発医2名が京都大学時代の臨床試験として、末期進行がん患者をANK療法単独で治療。
部位の異なる複数のがん患者にて、完全寛解後5年再発しないことを確認し、2001年より一般診療を開始しました。

NK細胞の最適培養条件は絶えず変化します。生き物に人間の都合で決まった培養条件を押し付けるとうまくいかず、NK細胞は一夜にしてほとんど死滅することもあります。ANK療法ではNK細胞のその時々の状態に合わせて培養条件を微妙に調整します。すると、混在するT細胞にとっては最適条件とずれるため、やがて減っていき、NK細胞だけが増殖し続けます。
その後、京都大学でANK療法開発者と同じ免疫チェックポイント(レセプター)分野の研究を行っておられた研究者が関与された「免疫細胞を眠らせる抑制信号をブロックする免疫チェックポイント阻害薬」が開発されます。まだ複雑なNK細胞の信号制御ができるレベルではなく、現状では漠然とT細胞全体を目覚めさせてしまうため、正常細胞も攻撃されて重篤な自己免疫疾患を起こすリスクがあります。(T細胞は正常細胞も攻撃します) やはり複雑な体内に薬を投与するよりも体の外の「見える」環境で培養し、がん細胞を傷害し正常細胞は攻撃しないNK細胞を確実に増強するのが実用的と考えます。

  1. LAK療法関連論文 ニューイングランドジャーナルオブメディシン
    A Progress Report on the Treatment of 157 Patients with Advanced Cancer Using Lymphokine-Activated Killer Cells and Interleukin-2 or High-Dose Interleukin-2 Alone
    DOI:10.1056/NEJM198704093161501
  2. インターロイキン2レセプター関連論文 ネイチャー
    Molecular cloning of DNA encoding human interleukin-2 receptor. Nature. 1984 ; 311 (5987) : 631-635
    Toshio Mikaido, Akira Shimizu, Norio Ishida, Hisataka Sabe, Keisuke Teshigawara,
    Michiyuki Maeda, Takeshi Uchiyama, Junji Yodoi, Tasuku Honjo :
    免疫細胞の培養にはインターロイキン2の添加が必須である。ANK療法開発者2名のうちの一人、勅使河原計介医学博士は、免疫細胞表面にあるインターロイキン2レセプターの発見者の一人である。「ネイチャー」誌掲載論文には、免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」の開発者である本庶佑医学博士をはじめ、免疫細胞研究の黎明期をリードした研究者の名が並ぶ。