TOPANK療法の特徴>がんの部位を問わない

さて、単独で、がん細胞と正常細胞を見分けることができる「物質」は存在しません。

これまで100種類ほど、腫瘍マーカーが実用化されてきましたが、がん細胞特有の物質を用いるものは一つもありません。(ある種のがん細胞が、ある条件の時は、正常細胞よりも顕著に大量に血液中に出てくる物質をマーカーとしています。)

細胞表面物質は、遺伝子レベルでは400種類ほど存在することが分かっています。その全てに対して複数のモノクローナル抗体がつくられましたが、がん細胞だけに結合し、正常細胞に結合しないものは一つもみつかりません。世界のバイオベンチャー、大手医薬品メーカー等が、数百品目もの抗体医薬品を臨床開発中ですが(検討された抗体の種類としては天文学的な数になります)、その中に、がん細胞だけに結合し、正常細胞に結合しないものは一つも見つかっていません。

化学療法剤は、開発の最初の段階から、物質そのものの性質として、がん細胞を狙い打ちにすることは考慮されていません。

現在、知られている限り、如何なるがん細胞でも攻撃し、かつ正常細胞を傷つけない存在は、体内で、がん退治の主役を担うNK細胞しかありません。

但し、NK細胞は活性が低いと、がんを攻撃しません。

また、体内のNK細胞群は、均質な集団ではありません。NK細胞は、がん細胞や正常細胞を認識するレセプターを何十種類ももっていますが、レセプターのレパートリー、組み合わせ方が異なる亜集団に分かれます。NK細胞によって、苦手とするがん細胞、得意とするがん細胞が異なるのです。そのため、1個のNK細胞のクローン(コピー)を培養し、増殖させると、特定のがん細胞は殆ど攻撃しない、ということも起こります。実際、大学の研究用に、クローン培養された NK 細胞(セルラインとか、細胞株、と呼びます)が配られていますが、代表的なものは、MHCクラスIという物質を持つがん細胞を攻撃する力が極端に弱くなっています。本来、寿命があるNK細胞を、研究者が手軽に扱えるよう、半永久的に継続培養する特殊なプロセスを経ると、このMHCクラスIを苦手とする「変わり種」のNK細胞を拾うことになります。体内から、一定以上の母集団として採取され、そのまま活性化・増殖された NK 細胞の集団であれば、現状、知られている如何なる、がん細胞でも攻撃します。

これまでに開発された免疫細胞療法の中で、NK 細胞の活性を、どんながん細胞でも攻撃するレベルまで高めたものは、米国オリジナルのLAK療法とANK療法の二種類だけです。(広島大学で行われている、生体肝移植に適用されている免疫細胞療法は、米国LAK療法に準じた条件と考えられます)

ANK 療法は、がんの部位を問いません。

それは、NK細胞が、元々、全身をパトロールする存在だからです。

但し、脳腫瘍については例外です。

脳には、脳血液関門(BBB)と呼ばれるゲートが存在し、NK細胞は、このゲートを通過しないようです。脳の外科手術、放射線、あるいは放射線療法の一種ですが、ガンマナイフという治療を受けられた場合は、一定期間ゲートが開くようで、ANK療法によって脳内の腫瘍組織が消滅した方がいらっしゃいます。

NK細胞の認識メカニズムは、非常に複雑ですので、ご興味のある方は、このページの最後に、もう少し説明をさせていただきますので、ご覧ください。

何故、初めて遭遇する相手を認識できるのか