TOPANK免疫療法について>ANK療法の特徴

1990年代のはじめ、京都大学の研究者二人が、困難と言われ続けたNK細胞の本格培養に世界で初めて成功します。NK細胞の活性化と増殖、両方の意味を込めてAmplified(増強)Natural Killer自己リンパ球免疫療法(通称、ANK免疫細胞療法、もしくはANK療法)と名付けました。

大規模な臨床試験で有効性を証明した米国LAK療法をNK細胞の活性と細胞数いずれにおいても上回るように設計されています。 (米国LAK療法も、ANK療法も、いずれも実際に採取される細胞の数や状態は、患者さん毎、採取毎に相当のばらつきがあり、両者とも培養毎に細胞数は異なります)

血液中のリンパ球の層を分離採取し、残りの成分を体内に戻す手法は、米国LAK療法と同様です。米国LAK療法では、3日間かけてリンパ球層を分離採取しました。概ね、50リットルとか、そういうレベルの延べ採血量に相当し、おおよそ数十億個レベルのNK細胞を集めた計算になります。これを本格的な増殖が始まる前に短期間のうちに体内に戻しました。ANK療法では、患者様の血液5~8リットル相当より、大量のNK細胞を集めます。ANK療法では、採取されるNK細胞は最大でも数億個以下になりますが、これを2~4週間培養し、NK細胞数100億個を目標に増殖させます。 (採取された細胞の数や状態によって、これより少ないこともあります)

米国LAK療法では、大きな腫瘍が壊死を起こし、組織が崩れるように大量のがん細胞が死滅することがあり、細胞内のカリウムやリンが血液中に溶け込み、心停止や腎機能障害のリスクがありました。そのため、集中治療室(ICU)を占拠して治療が行われ、現実的ではないコストがかかり、実用化が見送られました。ANK療法では、米国LAK療法を上回るNK細胞の戦力を投入する設計になっています。短期間に、全ての培養細胞を投与すると、大きな腫瘍が一気に壊死を起こす危険性がありますので、培養細胞を12分割し、原則、週2回ずつ投与することで、安全性を確保し、クリニックへの通院で治療を受けられるようにしました。

免疫治療は強くなければ、効果が得られない、ところが強すぎる治療は危険を伴う」効果と安全性のジレンマを乗り越えるため、一度に投与すると危険なレベルの治療強度を1クールとして確保しておき、分割投与によって効果と安全性のバランスを取ったものです。

ANK 療法は、元々患者さんご本人の体内にある ナチュラルキラー(NK) 細胞を用いるものです。
遺伝子操作など、予想不可能な変化をもたらす可能性のある細胞加工は、一切おこなっておりません。人工的なNK細胞を作り出しているのではなく、NK細胞本来の機能を回復・解放していますので、遺伝子治療や1個の細胞から組織を作りあげる再生医療で行われるような「細胞の加工」とは次元が異なり、原理的に、より安全と考えられています。

ANK療法の点滴後、一過性の発熱など、免疫副反応を伴いますが、これは国内で実施される免疫細胞療法の中で、おそらくANK療法だけの特徴でしょう。強い免疫刺激の結果として、免疫副反応は、必ずといっていいほど発生するものです。然るべき免疫副反応を伴うのは、それだけ、治療強度が強いことの現れです。よく誤解されているようですが、がん細胞は、正常細胞と比べて、特に熱に弱いわけではありません。発熱によって、がんを治療するのではありませんので、水分補給はもちろんのこと、脇の下などに冷たいものをあてるなどして、物理的に体を冷やすことで対応します。

  1. がんの部位を問いません
  2. 標準治療の邪魔をしないよう、日程などを合わせて治療を行います
  3. 治療強度が強い
  4. 免疫刺激作用が強い
  5. 分子標的薬との併用で治療効率の向上を目指す
  6. 合併症を伴わない上に、QOL改善効果が期待できます
  7. 仕事を続けながら治療を受けることも可能です
  8. ATLを含む白血病、B型/C型肝炎などのウイルス感染者も治療可能です

ANK 療法は、がんの部位を問いません。それは、NK細胞が、元々、全身をパトロールする存在だからです。静脈に点滴で戻せば、血流にのって全身を巡り、腫瘍付近を通る際に、血管壁の隙間から外へ抜け出し、腫瘍へ殺到します。現在、知られている限り、如何なるがん細胞でも攻撃し、かつ正常細胞を傷つけない存在は、体内で、NK細胞しかありません。但し、NK細胞は活性が低いと、がんを攻撃しません。

なお、脳内にある脳腫瘍の原発巣や、脳転移については事前の措置が必要です。脳には、脳血液関門(Blood Brain Barrier)と呼ばれるゲートが存在すると考えられおり、多くの薬剤や、他の免疫細胞もそうなのですが、NK細胞は、このゲートを通過しにくいようです。脳の外科手術、放射線、あるいは放射線療法の一種ですが、サイバーナイフや、ガンマナイフという治療を受けられた後、概ね半年程度の期間、ゲートが開くようで、ANK療法によって脳内の腫瘍組織が消滅した方がいらっしゃいます。

ANK療法を実施する医師は、基本的に、標準治療の邪魔にならない治療の設計を考えます。細胞の培養は、1クール分(もしくは2分の1クール分)を一気に行い、培養した細胞を、凍結保管します。そして、治療スケジュールに応じて、いつでも、融解し、再培養によって活性を回復させた上で、治療を行うことができます。(凍結した細胞は、活性が下がるため、再培養が必要です。また、融解は時間をかけてゆっくり行う必要があります) そのため、標準治療実施前に培養を完了しておき、標準治療中は凍結保管したまま、標準治療終了後に点滴を開始することも可能です。また、抗がん剤の休薬期間中を利用して、リンパ球の採取を行うことや、あるいは、培養細胞の一部を点滴し、抗がん剤の副作用を和らげることを狙うことも可能です。
抗がん剤の投与スケジュールが変更になる、もしくは、点滴予定日に、体調によって点滴ができないような場合、無菌状態が維持されていれば、点滴用の細胞を培養センターに戻し、再培養することも可能です。このように、自在にスケジュールを組めますので、標準治療の進行に合わせて、ANK療法を進めることが可能です。

ANK療法は、当初、単独でも進行がんを征圧できることを目標に開発されました。一般診療前に実施された小規模な臨床試験では、標準治療を受けていない進行がん患者様を対象に、ANK療法のみを半年間、間を空けずに、連続治療することで、完全寛解後、5年以上、再発の兆候がないことを確認しました。
現実の一般診療では、標準治療によって、NK細胞がダメージを受けた方が多く受診されます。加えて、治療費の問題もあり、半年間連続治療は難しく、実際には、他の治療を併用しながら、ANK療法はなるべく少ない治療回数に抑える工夫がなされています。従い、臨床試験と同じ条件で治療が行われることは、ほとんどありません。
(臨床試験は、条件に合う患者様を選んで、特定の治療パターンで実施されるため、臨床試験の結果を、様々な状態や治療設計で実施される一般診療にそのままあてはめることは適切ではありません。)

下のグラフは、ANK療法で培養されたもの、米国LAK療法と同様の培養条件(高濃度インターロイキン2刺激、培養期間3日以内)で培養されたもの、国内一般に広く実施されているものと同様の条件(低濃度インターロイキン2刺激、培養期間2週間)で培養されたものを社内で比較したもので、縦軸は、制限時間内に傷害された標的がん細胞の割合を示しています。(体の外で、免疫細胞と標的がん細胞を戦わせたものです)

活性についての内部実験データ

ANK療法は、がん細胞を傷害する能力が高いNK細胞を、5~8リットルという大量の血液から採取し、数も増やして治療に用いるものです。最大の特徴は、がん細胞を攻撃する治療強度の強さにあります。

ANK療法では、点滴ごとに、発熱などの顕著な免疫副反応があります。ANK療法以外の免疫細胞療法では、若干の微熱などを除き、免疫副反応がみられるものは、見当たりません。
これは体内に戻された活性の高いNK細胞が、大量の免疫刺激物質(インターフェロンをはじめとするサイトカインと呼ばれる免疫細胞間同士の信号物質)を放出する結果として現れるもので、それだけ免疫刺激作用が強いことを意味します。

特に、化学療法を限界まで受けられ、免疫力が極端に低下している患者さんの場合で、初回の点滴や2回目の点滴の際、猛烈な熱を発することがあります。3回目以降は、落ち着いてきますが、余り激しい熱が想定される場合、初回と2回目だけは、点滴で戻す細胞数を減らすという工夫も可能です。

欧米では、従来型の抗がん剤(殺細胞剤)よりも、分子標的薬の使用総額が上回っています。世界標準となった分子標的薬ですが、日本では、薬剤毎に、ごく特定の部位しか保険適応にならず、使用にも制限が多く、まだまだ従来型の抗がん剤の方が主流のままです。
分子標的薬は、設計上、部位にはあまり関係なく、固形がん用の分子標的薬であれば、固形がん全般に広く使えるはずです。一方、どの部位であっても、分子標的薬の使用に適している場合とそうでない場合があり、使用に際しては、慎重な検討が必要です。膨大な種類がある分子標的薬を厳選し、保険適応外(自由診療)で投与することで、治療の選択肢が広がります。
分子標的薬は、がん細胞を、直接攻撃しません。また、免疫細胞にダメージを与えない設計になっています。もっとも重要なものは、がん細胞への増殖信号をブロックすることにより、がん細胞の増殖にブレーキをかけることですが、その間に、体内のNK細胞が、がん細胞を攻撃しないとがん細胞の数は減ってくれません。そこで、体内のNK細胞の活性を2倍程度以上、高めるADCC活性(抗体依存性細胞傷害活性)を利用する分子標的薬も実用化されています。ただし、がん患者様の体内のNK細胞の活性は、極端に低下していることがほとんどですので、単に、分子標的薬を投与しただけでは、効果がみられないことも多いようです。
ANK療法の実施にあたっては、副作用、薬剤費、期待できる相乗効果などを慎重に検討した上で、ANK療法の治療効率を高めると考えられる分子標的薬の投与も行うことがあります。

急性化したATLや、白血病化した多発性骨髄腫などは、がん細胞の増殖が異常に早く、また、リンパ球の分画の中に、がん細胞が大量に混じってきます。(固形がんの患者さんの血液を採取しても、ほとんど、がん細胞は含まれていません)そのため、一般の免疫細胞療法では、白血病は「治療不可」となります。特別に、がん細胞を洗浄などによって除去しない限り、培養器の中で、がん細胞が大量増殖するからです。

ANK療法でも、白血病の治療は容易ではありませんが、混入がん細胞との戦力バランスによっては培養中に、混入がん細胞を死滅させることも期待できますので、著効例も含め、治療実績があります。
培養中に、がん細胞を実際に殺すことができるのは、ANK療法がもつ重要な特徴です。但し、症状によっては、治療をお断りする場合や試験培養を行い、培養可能なことを確認する場合などもあります。
詳しくは、医師とご相談ください。

なお、ANK療法の場合は、血液中に存在する、ある種のウイルスやマイコプラズマなどは、培養中に消滅することを確認しています。但し、全ての既知のウイルスを検証した訳ではありません。B型肝炎ウイルスや、C型肝炎ウイルス、HTLV-1型ウイルスのキャリアの患者さんについて、実際に培養実績があります。

QOLについては、患者さんお一人お一人、全く状況が異なりますが、概ね、ANK療法を受けられると、食欲がでてきた、夜、眠れるようになった、やる気がでてきた、肌の艶がよくなった、風邪をひかなくなった、など、何らかの臨床諸症状の改善を訴えられる患者さんが少なからずおられます。逆に、悪寒や発熱は、とても辛い、という方もいらっしゃいます。特に抗がん剤治療中の副作用によって、抗がん剤投与が中止になることが少なくありませんが、ANK療法実施医師の中には、抗がん剤の休薬期間にANK療法を少量投与することで、抗がん剤の副作用が緩和される傾向があるとの印象を仰います。

ANK療法を受けられる時点で、お仕事ができる状態の方であれば、週二回、発熱のため休みをとる、という前提で、お仕事を続けられることも可能です。