TOP樹状細胞について>樹状細胞療法の研究は、適切な標的がん細胞が入手できない場合を想定

現在、樹状細胞療法の研究の焦点は、「適切な標的がん細胞を入手できない場合」に集中しています。入手できれば、樹状細胞を用いずにCTLを作成できるのですから、当然です。

適切な標的がん細胞に代わるものとして、人工抗原が用いられます。

人工抗原の研究は、この数十年、盛んに行われてきましたが、未だに、有効性を確認されたものはみつかっていません。細胞表面抗原は、ほぼ考えられる物質が一通り試験され、失敗に終わっています。
現在、日本では、細胞内部にある物質、WT1という蛋白質や、WT1蛋白質の一部である、WT1ペプチドの研究が盛んです。WT1という蛋白質は、がん細胞にも正常細胞にも存在しますが、様々な種類のがん細胞において、過剰発現している、と報告されています。細胞内にある限り、直接、標的にはならないのですが、WT1蛋白質の分解物である、ペプチド(アミノ酸が数個つながったもの。蛋白質は、数十個〜数百個のアミノ酸が、つながっています)が、細胞表面に出てくることがある、とされています。全てのがん細胞に存在するわけではありませんが、MHCクラスIという分子が細胞表面に突き出ており、この分子の臍のような隙間に、細胞内に過剰発現している蛋白質が分解されて生成されたペプチドが吸い上げられ、ディスプレーされることがあります。MHCクラスIは、T細胞が認識する相手方となりますので、ここに、がん細胞において過剰発現されるWT1の分解物を提示すれば、T細胞が、がん抗原と認識するのでは?という期待をもたれているのです。ここまで難解な説明で申し訳ありませんが、樹状細胞療法というのは、仮定の上に、仮定を重ねたものであり、説明もまた、長くなります。「がんを見つけ次第、破壊する能力を生まれながらに持つNK細胞を強くし、数を増やして体内へ戻す」こんなシンプルにはいかないのです。

これまで、樹状細胞療法は、国内では医薬品メーカーが治験を行い、全く効果がみられず、「確認申請」を取り下げています。他、大学などでも治験が行われていますが、これといった成果はあがっていません。