TOP免疫細胞療法の原点>LAK療法の考え方

  • 膨大な量のNK細胞を取り出す (3日連続、動脈血採取)
  • 高濃度IL2刺激により、NK細胞の活性を健常人以上に高める
  • NK細胞が増殖を始め、活性が下がってしまう前に、体内に戻す

NIHでは、患者さんの体内の免疫抑制を打破するべく、IL2の大量点滴投与を同時に行いました。米国で開発されたLAK療法は、治療効果を上げることもあったようですが、大量の薬剤を使用しながらICU内で行われ、日本で実施すれば1日の治療費が何百万円もするものです。また、副作用も大変、激しく、患者さんの生命の危険を伴うものでした。

米国の手法は、「生き物」である細胞に対して、強引に強い刺激を加えたものです。また、米国の法制度や医療保険システムには合わないため、米国では普及しません。

それでも、米国LAK療法は、免疫細胞療法の基礎を築きました。巨額の資金を投入した大掛かりで組織的な研究により、免疫細胞療法において使用される機材、容器などの資材、薬剤、などを医薬品・医療グレードとして使用可能であることを検証し、安全管理の考え方やシステムなども確立しました。こうしたビッグサイエンスの基盤があって初めて、今日の免疫細胞療法を薬事法に準じたレベルの安全管理体制で実施することが可能なのです。

米国政府研究機関の巨大プロジェクトの成果があってこそ、研究段階・初期開発段階をクリアし、応用開発の段階へ突入できました。その主役は京都大学の研究者が担います。

なお、免疫細胞療法の原理が確立される以前、がん特異抗原(がんに存在し、正常細胞には存在しない)を与えれば、免疫系が、がん細胞だけを特異的に攻撃するのではないか、という期待の下、がんワクチンと呼ばれる治療法が盛んに試されました。結果は、尽く失敗に終わっています。がん特異抗原だと思っても、実際には、体内の正常細胞にも反応する、つまり本当は明確ながん特異抗原ではなかった、という問題もあります。それ以前の問題として、原理的に、強い免疫抑制状態にある患者さんの体内で、十分な免疫応答を期待すること自体に無理があるのです。体内には沢山のがん細胞が存在する、つまり大量の「がん抗原」が存在するはずなのに、満足な反応をできない「免疫が抑制された状態」が問題なのです。本物のがん細胞の大群を目の前にしても、反応できない免疫系に対し、人工的な「がん抗原?」を投与しても、何も起こらないのは論理的に当然の帰結です。