TOP分子標的薬とANK免疫細胞療法の併用>ANK免疫細胞療法と分子標的薬併用の治療設計(2)

では、次に分子標的薬イレッサなどを単独で用いた場合、どうなるかのイメージをグラフ化してみます。

分子標的薬単独使用

時間軸は、ANK治療間隔を前提に、2目盛で1週間です。(実際には、イレッサは投与を始めてから、血中濃度が序々に上昇し、10日目ぐらいから効果を発揮し始めます。)途中までは、がんの増殖を抑え、特に、がんによる勢いの差が少なくなっています。イレッサは正常細胞の増殖も抑えますので、ここでは、投与を中断することを想定し、中断後に、がんの増殖カーブが立ち上がっています。イレッサは、がんを抑える効果は強いのですが、永久に、がん細胞の増殖を抑え続けることはできません。

自分で、がん細胞を攻撃しない分子標的薬にとって、十分な治療効果を発揮するには、どうしても相棒が必要です。その点、化学療法剤は問題があります。化学療法剤は、分裂中の細胞の遺伝子に傷をつけるものです。つまりイレッサによって増殖を抑えられたがん細胞は、化学療法剤の攻撃を免れることになります。イレッサががん細胞を守っているようなものです。一方、体内のNK細胞は化学療法剤によって叩かれ、これもまた、がん細胞を攻撃できなくなっています。体内で、「誰もがん細胞を攻撃しない」状態となります。

また、承認当初、イレッサを服用された患者100人中に2〜3人の割合で間質性肺炎を発症され、その中の3人に1人の方が亡くなられました。とんでもない副作用が強い薬として、マスコミにも叩かれました。化学療法剤は「長期間連続投与」すれば、死亡率100%です。無事な人はいません。100%の方が亡くなる化学療法剤は問題なくて、死亡率1%弱のイレッサが問題とされたのです。後に、男性のヘビースモーカーを投与対象からはずせば、発症率も死亡率も下がることが判明します。これでマスコミは副作用問題を取り上げなくなります。そもそも、肺がん患者さんが、標準治療を限界まで受けられていると、間質性肺炎を発症する確率が高くなっています。この状態でイレッサを投与して間質性肺炎を発症しても、何が主たる原因なのか分からなくなります。イレッサは最後の引き金を引いたのかもしれません。