TOP分子標的薬とANK免疫細胞療法の併用>ANK免疫細胞療法と分子標的薬併用の治療設計(1)

ANK療法と分子標的薬の相乗効果の現れ方について、実際に、どの程度のがん細胞を攻撃するかは、他の免疫細胞療法との比較に実験データを掲載しておりますので、ご参照ください。ここでは、ANK療法と分子標的薬を併用する場合の治療設計の考え方について、グラフを用いて説明させていただきます。

細胞1個が、分裂して2個になるまでの平均時間をダブリングタイムと言います。固形がんの多くが、概ね、10〜30日、つまり10日毎に2倍、2倍と増えるものから、30日毎に倍々で増えるもの、こういったものが多いといわれております。白血病は2〜3日で2倍あるいは、それ以上、早く増殖するものもあります。正常細胞はどうでしょうか。成人の心筋細胞や中枢神経の細胞は殆ど増殖しません。一般の筋肉細胞も数は増えません。ところが、免疫の担い手であるリンパ球の多くは2〜3日で2倍になります。内臓の組織の多くを占める上皮細胞(粘膜や皮膚に類したものとお考えください)も同様か、1日の内に数回分裂するものもあります。そのため、分裂する細胞を無制限に攻撃する化学療法剤は、がん細胞よりも先に多くの正常細胞を叩いてしまうのです。

ちなみに、インフルエンザウイルスは、8時間で1個のウイルスが100〜150個、24時間で100万倍〜200万倍、48時間で1兆倍〜数兆倍に増殖します。大腸菌はもっと早いです。15〜20分で一回分裂しますので、仮に1時間に10倍に増えるとすると、同じ8時間で1億倍、16時間で1京倍になります。ダブリングタイム、細胞分裂速度の僅かな違いが、結果的にどれ程、「数」に影響を与えるか、如何に少ないうちに叩くことが重要か、如何に増殖速度を抑えることが大事かが、お分かりいただけると思います。

では、仮に、体内に100億個のがん細胞があったとします。1cmの固形がんで、概ねの目安として、10億個ぐらいです(がん細胞の大きさはまちまちですので、あくまで参考としてお考えください)。2cmぐらいになると、100億前後になります。100億個のがん細胞というのは、1cmが10個とか、2cmが1個、そういうイメージとお考えください。ダブリングタイムが、10日、15日、20日、25日、30日の場合を考えます。実際には、大きな腫瘍の場合、中心部は増殖が止まっている、あるいは診断困難な微小分散がんが全身に散っていて猛然と増えている、がんの実態は様々ですので、これもあくまで参考のための一つのイメージとお考えください。何も治療しなければどうなるでしょうか。次のグラフをご覧ください。時間経過は、ANKの標準点滴パターンが一週間に2回ですので、点滴一回を「1」、つまり「2」で1週間、「8」〜「9」で、ほぼ一ヶ月に相当します。 一番、急激に増加しているのが、ダブリングタイム10日のケース、以下、ダブリングタイムが長くなるほど、増殖は遅くなります。

治療しない場合

がんは、一旦、増殖を始めると、あっという間に膨大な数になってしまいます。小さいうちはゆっくりしか増えないように見えても、ある程度の大きさになってくると、凄まじい勢いで増えているように見えます(実は、同じペースで増えていたのですが、印象としてはそう見えます)。目に見える腫瘍組織が半分になったかどうかではなく、がんの勢いがどうなのか、その方がはるかに重要であることがお分かりいただけると思います。放射線や化学療法剤で、少し腫瘍を叩いても、残ったがん細胞の増殖速度が上がってしまうのでは、何の意味もないのです。標準治療を用いる場合は、治療後に、がん細胞の増殖を抑える策が必要です。

ちなみに、がん細胞が一個からスタートして、どのような増殖曲線を描くかを見てみましょう。

がん細胞増殖曲線

上の図で、ダブリングタイムが10日の場合、1個のがん細胞が10億個に増殖するまで、1年かかっていません。そしておよそ一ヶ月毎に、10倍ずつ増殖し、1年と3ヶ月程度で、1兆個に達します。ところが、10ヶ月目までは、数ミリ以下のサイズであり、画像診断では発見されません。ダブリングタイムが15日、20日などのケースでは、1年半、2年目位でグラフ上に現れ、その後、数ヶ月でやはり1兆個レベルに達します。
がんは慢性病です。急に症状が変化することなく、自覚症状もないまま時間が過ぎます。ところが、ある程度、がん細胞の数が増えてくると、あっという間に手がつけられないほどの膨大な数になってしまいます。