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2019年12月06日

  

くすり

薬剤耐性細菌の感染により8000人の方が命を落とされているという調査報告がネット上で話題になっています。

 

一部の細菌について調べただけですから実際にはこの程度ではすまないでしょう。薬剤耐性については日本が世界の元凶とみられています。タミフル、リレンザ、ゾフルーザの過剰投与による耐性ウイルスの早期発生と拡散も大問題ですが、これらの抗インフルエンザ薬の場合は過剰投与というより不適切な投与が行われていることが最大の問題です。保険適応のガイドラインに則って投与しているだけだと言うのでしょうが、そのガイドラインが世界の常識から思いっきり逸脱しているのです。それはともかく抗生物質や抗菌剤の耐性問題の根は深いものがあります。

 

日本特有の問題は感染体の特定や薬剤への反応性を検査しないでいきなり「ワイドスペクトラム」の抗生剤を投与する診療スタイルです。欧米では感染症となると可能な限りその病原体を採りだして培養するなり何らかの検査を行い、可能な限り感染体を殺すが他の細菌は殺さない、といってもそんなことは不可能なのですが、できる限り「型合わせ」した「ナロースペクトラム」の抗生物質を投与します。 抗菌剤の場合は広範に効くものが多いので極力古典的な特定の種類の細菌しか攻撃しないペニシリン系統の抗生物質を中心に慎重に投与します。 ナロースペクトラムというのは攻撃する細菌の種類が少ないという意味でワイドは何でも攻撃するタイプという意味です。 お医者さんを非難しても日本では病原体の特定とか薬剤のマッチング検査に薬価がなかなかつかないのでもし検査すれば「自費」になってしまいますから混合診療規制により自費検査で丁寧に調べると薬剤投与も自由診療による自費で処方しなければならなくなります。保険診療で通して患者費用負担を抑えるためには検査をしないで目を瞑って何でもかんでも攻撃しまくる抗生物質を体内にばらまくしかないのです。 腸内細菌がどうなるとかまったく考慮されていません。

インフルエンザのようなウイルス感染にも抗生物質が投与されてきたという負の歴史もあります。もちろん日和見感染などで細菌類の異常増殖も疑われる場合は抗生物質で細菌を制圧することに意味はあるかもしれませんが基本的に抗生物質や抗菌剤はウイルスには無力です。 

 

さらに動物薬の問題もあります。これは日本特有とまでは言えませんが、日本の家畜の生育環境は一般に欧米よりも劣悪なことが多く薬剤の使用量が多くなる傾向があります。日本の動物薬市場800億円というのは何と世界第二位であり続け最近ではフランスに抜かれて第三位となっています。家畜に抗生物質を投与するのは感染症の治療というより、とりあえず投与しておくと体重が増えるのです。使用金額で比較すれば動物用の抗生物質は人体用より一桁以上少ないのですが単価が桁違いに低いものが使われているため量では逆転します。薬剤耐性細菌は常に存在しています。薬が耐性細菌を生み出すのではありません。抗生物質の圧力により薬剤耐性細菌が耐性をもたない細菌よりも優勢になるということです。動物薬であっても大量投与により勢いを増した薬剤耐性細菌が人間界でも害を為していると考えられています。

 

GHQは日本の医療のグランドデザイン制定する際に、抗生物質、ワクチン、血液製剤を医療産業の三本柱と定め米軍に大変協力的だったメンバーを各分野のトップに据えますそして臨床医師を目指す医学部の学生に免疫学を教えることを禁止しました。つまり余計なことを考えないで感染症だったら目をつぶって抗生物質を大量投与すればいい、ウイルス感染については日本人はただワクチンをうっていればいい、としました。日本だけがインフルエンザワクチンの学童への集団接種を半世紀にわたって続けたのはGHQの意向を受けてのものです。先進国であればどこであってもインフルエンザワクチンは任意接種です。抗生物質の投与は慎重に診断を進めながらペニシリン系などの第一世代を中心に一部の細菌類しか殺さない古典的な薬剤を中心に投与します。血液に関しても独特の規制があります。今日では大学の医学部でも免疫学を教えていますが数十年も続いた仕組みはある種の文化のように定着してしまい今日でも単純に承認された薬剤をただ投与していればいいという状況が続いており細菌であれインフルエンザウイルスであれ日本が薬剤耐性最大の流行源となってしまっています。免疫病であるがんの治療にも免疫学を土台とした治療設計が浸透していません。

 

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