TOP>ANK自己リンパ球免疫療法(ANK療法)とは

リンパ球の採取の方法には、リンパ球分離採取と、全血採血と二つの方法があります。米国NIHが開発したLAK療法は、3日間連続、動脈血を採取しますが、本気で、がんの治癒を目指すならば、それ位、大量の免疫細胞が必要なのです。血液を数十ml採血して、2週間程度の培養をするのでは、「焼け石に水」です。そこで、ANK療法では、概ね90分間、動脈血を採取することを基本としています(リンパ球以外の成分は、その場で直ちに体内に戻します)。米国LAK療法より、2桁、細胞数が少ないことになります(72時間vs1時間半)。その代わり、患者さんの細胞の状態や数によって個々に大きく異なるのですが、所定の細胞数に達するまで、概ね、数十倍(〜数百倍)、NK細胞を増殖させます。こうして、米国LAK療法に匹敵するNK細胞数を揃えることを実現しました。

米国LAK療法では、一気に大量のNK細胞を体内に戻しますが、一度に大きな腫瘍が全滅する(壊死)ことがあり、がん細胞内にあった大量のカリウムやリンが血液中に放出され、高濃度のカリウムは心臓を、リンは腎臓を直撃します。そこで、ICUの中で、体液管理を行いながらの治療となりました。日本で今、実施すれば、一日当りの治療費が何百万円もすることになります。ANK療法では、12回の点滴に分けていますが、クリニックでも治療可能なように、一回の点滴におけるNK細胞の総数に上限を設けています。それでも、40度C近い発熱を伴いますので、これ以上、一度に体内に戻す細胞数を増やすことは、危険を伴うと考えております。(これまで、1000例近い治療実績の中で、サイトカインストーム等の事故は発生していません)

リンパ球分離採取は、遠心分離という原理で比重が一定範囲のレベルの成分を取り分けます。リンパ球が多く集まる層だけ採り出し、残りは体内に戻します。取り出すのは血液全体のごく一部ですので、全血採血よりも患者さんの体力消耗は抑えられます。リンパ球は全血液に存在する量の100倍以上、およそ1兆個が全身に存在し、すぐに血液中のリンパ球は補充されますので、リンパ球がなくなってしまう心配はありません。 ところが、分離採取可能な場所が全国に数箇所しかなく、そこまで移動が可能かどうか、という問題、また、準備や止血を含めると3時間前後、ベッドにじっと横たわり続け、動けませんので、小さなお子さんや、体力的に厳しい方にとっては辛いことになります。費用も追加で発生します(概ね400万円という中に含まれています)。どうしてもリンパ球分離採取が無理という場合、全血採血での対応をしておりますが、1クール分の細胞数を確保するには、400ml程度が必要で、これでも不足する可能性があります(その場合、追加採血に伴う培養費はいただいておりません、採血費用は、採血を行う医療機関によって異なります)。実際には、患者さんの状態によって、400mlもの血液を採取することは、とても推奨できないこともあります。そこで、6回分、200mlのみ採血し、点滴で細胞を戻し、免疫力や体力が回復した後、再度採血する、など、工夫が必要なこともあります。いずれにせよ、全血採血の場合、リンパ球分離採取に比べて、一桁以上、取れる細胞数が少なくなります。そこから培養を始めますので、増殖倍率を高くする必要があり、それだけ、培養期間も長くなり、また、NK細胞が寿命を使ってしまいます。「健常人なら、NK細胞を1000倍以上増殖可能」、というのはANK療法の優れた「技術的特長」ですが、臨床上の「良い培養」は、「大量のNK細胞を採取し」、「増殖倍率を低く抑え」、「十分、活性を高めた」NK細胞を必要な数だけそろえることです。

ANK療法が開発された当時、京都大学の「実験」として治療が行われました。他の治療法は一切拒否し、ANK療法単独で4〜6クール連続治療により、進行がんの完全寛解及び5年間、再発の兆候がないことを確認し、その上で、リンパ球バンクが創設されました。

ところが、クリニックが開業した後は、患者さんを選ぶことができません。また、治療を申し込まれる方の大半は、「がん難民」と呼ばれる状態でした。治療を優先すると、患者さんが助かるために考えられるあらゆる治療の組み合わせを提案しますので、何が効いたのか、あるいは効かなかったのかデータにはなりません。そして4〜6クール連続では、費用が膨大になります。ANK療法の培養には、他の免疫細胞療法とは桁違いの薬剤を使用し、培養単価はこれ以上、下がりません。そこで、標準治療により、がん細胞の総数を減らしてから、ANKはとどめを打つために使う、最新の分子標的薬との併用による相乗効果を狙う、など、臨床応用面での工夫を重ね、少ないクール数で、十分な効果を挙げ、患者さんが負担される総費用を抑える工夫を重ねてまいりました。今後、欧米で続々と開発される分子標的薬が使えるようになり、更に、NK細胞を刺激する効率を飛躍的に高めるポテリジェント技術(協和発酵キリン)を導入した未来型の分子標的薬が登場することで、ANK療法が更に受けやすくなる環境が整うと考えております。